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8月護摩のお話し

 まだまだ日中は厳しい暑さですが、ようやく峠を越えたようです。
今日は皆既月食でしたが、残念乍、雲がかかって見ることはできませんでした。

 8月の満月護摩では、去る8月3日、4日に国立京都国際会館と、比叡山根本中堂前にて行われた、「世界宗教者平和の祈りの集い」に、天台宗僧侶として参加する機会があり、その時の感動をお伝えしました。
 この催しは、日本宗教者代表会議が主催し、比叡山宗教サミット 20周年を迎え、世界のあらゆる宗教者の代表、約2千人が集い、祈り、意見を交わした有意義な大会でした。
 世界の宗教者の代表。 まず佛教は中国、韓国、インド、スリランカ、カンボジャから参加、神教、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教、ヒンデウー教、ゾロアスター教等のそれぞれ宗派を代表する人達が参加しました。
 そして統一テーマに「和解と協力」をかかげ3日には各宗派代表によるパネルデイスカッションが行われ、世界の平和実現のために、宗教指導者がどのような考え方をもって、取り組んでいるか、意見交換が行われました。
 イラク等の現実の紛争に宗教者はどうすべきか。
 このことで各宗教者が全て一様に述べたことは、それぞれの教えは皆、人を愛し、他を尊重することが根本であって、憎しみをかりたてたり排他的な教えではない。そしてどの宗教代表者も、他の人、他民族、他国、他宗教を理解し協力することの重要性を強調する言葉を、シャワーのように発していました。
 ただそれでは現実は何故そうならないのか。その原因について、共通して強調されたのが、貧困、経済格差、そして民族の対立と侵略されることの恐怖、それらが根本にあって、そのの土壌に政治指導者の宗教利用が問題を深刻化するという意見でした。
 ボスニアヘルツェゴビナから6人の少女が参加しました。ボスニアコミュニテイーガーデンの共同農園に暮す
少女達です。内戦で25万人の死者、200万人の難民。まだ現在でも紛争は解決していないのです。セルビア人、クロアチア人、モスレスム人が殺し合い、それぞれの宗教が対立を一層深刻化させた悲惨な歴史です。
 しかし今この共同農園で、民族と宗教を超えて互いに共同して作業をする活動が少しづつ軌道に乗ってきたそうです。彼女達が戦争の頃描いた絵は戦車や、兵隊や死者だったそうですが、壇上に上がって披露してくれた絵は、未来への希望や仲間や宗教間の協調を表した暖かいすてきな絵でした。
 8月4日、比叡山に集合した世界の宗教代表者達によって、それぞれの祈りの作法によって、平和の祈りがささげられました。世界の平和という一つの同じ目標に向かって祈りがささげられたのです。祈ることがどんなに大切なことか。思うこと、祈ることは行動することと同
じ意味があると私は思います。
 そして比叡山メッセージ2007として世界に向けて発せられました。
 日本人は同一民族で、他国からも侵略されにくい島国であり、今は経済的に恵まれ、餓死者が路上に倒れているということもありません。
 われわれは世界の中で極めて恵まれた民族であり、国家であることを日頃は気が付いていないと思います。 また他国に比して大部分の人があまりにも宗教に無関心なっているように思います。
 そのようなことを考えさせられた日でした。
 皆さん日頃身の回りのことに忙殺される毎日だと思います。
 その中で少しでも、世界の平和のこと、世界の貧困や飢餓のこと、民族のこと、宗教のこと、日本の役割、そして自分が何かできないか、政治家にまかせておけないのでは、等々皆さんが色々と思うことだけでも大切なことだとお話しして、護摩供のお勤めをいたしました。

 来月の護摩は9月27日午後2時からです。お参りお待ちしています。
                           慈晃

カテゴリ: 門主のお話 | 2007年08月29日 | コメント(0) | No Trackbacks

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