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10月護摩のお話

今日は
昨26日午後2時より月例の満月護摩をお勤めしました。折から雨模様となりましたが多数ご参拝をいただきました。
以下その折のお話の要約です。
天台宗ではこのほど有名な千日回峰行の「堂入り」を見事32才の星野圓道行者が満行しました。10月13日に堂入りして21日早朝の出堂まで9日間、不眠、不臥(ふが)(横にならないこと)、断食、断水、にてひたすら不動明王の真言十万遍を読誦、修法して不動明王と一体となる文字通り命がけの行です。堂入り前に既に700日の回峰行(比叡山から坂本まで毎日祈りながら徒歩にて巡る行)を済ませ、出堂から再び300日さらに距離を増して回峰行を行うものです。その中でも「堂入り」は、まさに死を覚悟して行い、医学的には到底説明の付かない身体の状況を克服するものとのことです。心の深いところから強い信仰に支えられなければ満行は難しいと思います。
私はとてもこのような回峰の行を行うことはできませんが、不動明王を祈ることでは同じ気持ちで頑張っていきたいと思っています。
最近また食品を扱う会社が次々と不正を行っていたことが発覚しました。既にニュース等でご存じの通り、老舗の赤福が、餅やあんを再利用したり、原材料の表示を偽ったりしていたことです。社内の隠語で「むきもち」「むきあん」といわれる行程があって、まさに生産工程の一部のように売れ残り製品が再利用されていて、またその処理の種類によって、ラベルの表示に巧みな印字までされていたとのことは、ただただ驚き呆れるばかりです。さらには比内地鶏として宣伝販売していたものの中にブロイラーが含まれていたとのこと、雪印や、ミートホープ、ハンナンの偽装牛肉、白い恋人の石屋製菓、不二家の期限切れ材料使用、等々枚挙のいとまなく、こうなると、多かれ少なかれ殆どの食品にこのようなことがあるのではないかと思わざるを得ません。
これらのことは全て「うそをつく」というひとことであります。仏教ではこの嘘をついてはいけないことを一番重要な戒、つまりいましめと位置づけています。諺に「うそは泥棒のはじまり」と云われていますし、一つ嘘をつけばその嘘を塗り固めるためにまた嘘をつかなければならなくなり、嘘の連鎖がおこりがちです。嘘をつくことは人をだまし、欺くことになり、さらに最も恐ろしいことは自分自らを欺いている訳です。一端嘘をついてしまうと次第に慣れっこになり麻痺してどの様に悪いことを及ぼしているかにも気が付かなくなってしまうのです。
赤福の問題はテレビや新聞、マスコミが大きく取り上げやり玉に上がっています。興味本位にとんでもないことだと思っておられる方が多いと思います。
しかしながらこの赤福の経営者がやったこと、嘘をつくということは、われわれ自身が同じように、嘘をつきやすい弱い人間だということを自覚しなければいけないと思います。他人事でないと思わなければいけないと思います。自らに問いて、恥ずかしくないよう、自分を偽らないように身を正していかなければならないと思います。
自分一人の心の弱さを不動明王の大きなお力によって助けられ、善いことを成就していくよう日々精進して参りましょう。善いこととはなかなか難しいことですが、いつも申し上げるように、自分だけのためでないことを行うことだと思います。

お話は以上ですが、以下はご案内まで。
明日27日より恒例の青蓮院ライトアップがはじまります。いつもお詣りのかたにはご招待券を差し上げました。秋のひととき、どうぞ親しい友人や恋人、職場の仲間、ご家族連れ、もちろんお一人でも、どうぞ。
紅葉は例年ですと11月中旬位いからです。
日常の煩わしさから離れて色々と物を考えたり感じたりしてみて下さい。
お待ちしています。
今日初めて護摩に参加した方に少し要領をお話しして終わらせていただきました。
一度護摩にお越し下さい。  門主 慈晃拝。

カテゴリ: 門主のお話 | 2007年10月27日 | コメント(1) | No Trackbacks

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