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12月納め護摩のお話

今日は。今年の納め護摩です。昨夜の月は本当にすばらしかったです。
満月の当日、見れるか分からないので、私は少し前から必ず見るようにしています。
皆さんにもお勧めしています。参拝の方に手をあげてもらったら昨夜殆どの人が見てくれていてうれしく思いました。

清水寺で管長さんが清水の舞台で大書される今年一年を表す漢字が昨日、「変」と決まりました。  
私は変だと思いました。

変の字そのものは、変化した、変わったという意味です。
確かにこの一年、変化しました。しかしこの一年は単なる変化ではなかったと思います。
今年は大変化、大変動の年、100年に一度あるかないかの変だったと思います。
つまり恐ろしい変であり、単なる変では表せません。「恐」か「凶」が今年を表す一字だと私は思います。

ソニーが1万6千人をリストラすると発表しました。
派遣の打ち切りで、社員寮を追い出される人の問題。来春の新卒採用内定の取り消し。
枚挙にいとまがありません。

アメリカの上院でビッグ3の救済法が廃案になりました。もし本当に倒産すると失業者は3〜4百万人と云われています。決裂は、共和党が提案した現地のトヨタ、ホンダ並みの給料水準への引き下げに自動車労組が応じなかったためと報道されています。

そもそもこの問題はご承知のように、発端はアメリカのサブプライムローンの破綻です。
世界中が労せずしてお金を儲けようとしてマネーゲームに狂奔した結果です。
つまりアメリカ発の害毒に見舞われました。

リストラ、これもアメリカ産の言葉です。新聞等の報道の中で、この字が書いてない日がないほどです。
いやな言葉です。日本の過去の雇用の中心は終身雇用制でした。企業は1つの家族でした。しかし
いつのまにかアメリカの思想に席捲されて、能力主義人事万能、終身雇用、年功序列は古いものとのレッテルが貼られました。

私はこの「恐」「凶」の時にあたり、日本はそろそろアメリカの思想から決別するべきではないかと思いました。
日本では、永らく礼節や、忠誠が美徳であり、その根幹に家族や家があったと思います。
高度成長を支えたのは企業において、従業員が一体となっていわば一つの家族となり、会社に忠誠を尽くした結果だったと思います。

もし自分の家族の一員に能力の劣るもの、病弱のものや、障害をもったものが出てきた時、リストラして切り捨てるでしょうか。

私は一万人の人をリストラするのは、残された人が前と同じ給料を貰おうとするからだと思います。
ビッグ3の労組は世界中に大問題を起こしかねない時に、自分達の給料水準を従来の通り維持しようとしています。

家族は家に入る収入が減ったら、その範囲で始末します。家族の一員をリストラはしません。
つまり、日本的な昔の家族主義的経営の考え方は、私はリストラでなく、全従業員が等しく負担する、給料をたとえば全員半分に、あるいは三分の一にしても雇用を守るということではなかったかと思います。そのような団結の力が試練を乗り越えた時、大きな発展への道につながるのではないでしょうか。

昨夜のりんとした美しい月を感じた時、地上に起こっているこのゴタゴタがなんとも情けなく小さいものに思えました。

月の営みは「不変」です。お不動様のお力も「不変」です。
この絶対的に変わらない力を信じて、そしてその力に守られて、これからもっと厳しさが増すことが予想される「恐」や「凶」にしっかりと対処していきましょう。 
 
来年の初護摩は1月11日に、来年の皆様の諸願成就を祈念いたします。
今ご案内をしていますので、お申し込みご希望の方はこのブログでお問い合わせください。

今年、私のブログを見ていただいて本当に有難うございました。
どうぞ良いお年を。 慈晃

カテゴリ: 門主のお話 | 2008年12月13日 | コメント(1) | No Trackbacks

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