10月護摩。今日の京都地方すばらしい満月です。
月は我々が悠久の宇宙空間に思いを馳せる時に、我々にとって一番身近な存在でしょう。
月を見ていると、人間の営みの小ささを痛切に感じます。
人間の営みの小さく、しかも泥沼のような厳しいこの事態を超越できるもの、それは月であり、宇宙であり、そして仏様、宗教の世界だと思います。
今の日本、そして世界中が異常なほどの悪材料のめじろ押しです。
東日本大震災、原発、そして円高。ギリシャの財政破綻、世界的金融不安。株安。挙げれば切が無い。
良い事は一つも無いと云っても云い過ぎではないと思います。
忍耐強い日本人は文句を爆発させない。そして無能な政府は未曾有の円高に対し世界に向かって文句を云わない。
あるいは適切な対抗策を講じない。
政府は震災の復興は増税により今の世代で負担するとの優等生。
いかにもカッコいいが、その結果は目先の健全性からさらに円高の加速。結果として経済は逼塞して経済成長は急速に減退、企業は赤字、倒産、失業者の増大。つまり企業、個人共に収入の著しい減少。従って経常の税収の激減。日本の財政は破綻。というシナリオを予測する経済学者が多い。
千年に一度の災害であれば、今は借金で賄っておいて、千年掛けて返済すれば良いと私は思います。
どうしてこんな簡単な理屈が分からないのでしょうか。
円高、増税によって国力は益々減退。日本の行く末が本当に心配です。
最近親しい国際的に活躍している公認会計士で経営コンサルタントのある方に電話をしたところ
丁度仕事で日本にいるからお会いできるが、住所をスエーデンに移したとのこと。何故ですかと聞いたら、
今、先を考えている人、あるいは日本に居た主要な外国人は皆、日本から脱出していて当たり前のことだとのこと。
東日本大震災で東北地方全体は50センチ全体に移動した。その歪の是正がされていない。
東南海地震等予想されている地震の発生が非常に近くなっているとの判断から、中部、関西の原発の地震による被害を想定、危機的な危険状況にあるとの認識で避難しているとのこと。
彼はお金があり、決断力のある人なので誰でも真似のできる話ではないのですが、今、日本が置かれている不安を改めて実感しました。
青蓮院では東山山頂の将軍塚に大護摩堂を建立する計画を進めています。
この計画を既に10年以上前から取り組んでいたところ、3年前に、京都府所有であった戦前の大日本武徳会の京都支部道場「平安道場」を解体破棄することを憂えた運動が行き詰まっていることを知り、非常に貴重な木造の大建築であることから、何とか保存しようと、青蓮院で移築保存し青蓮院のお堂として再利用しようと決心しました。
古い歴史的な価値あるものをしっかり保存して行ってこそ、京都の価値を日本中の、あるいは世界の人に認めていただけるのではないかと、私は確信しています。
しかし乍、移築には想像を越える予算が必要で、青蓮院の力だけでは難しいため、現在多くの方々に寄進のご協力をお願いしております。特に日本の100法人あるいは100人の方に特に纏まった金額のご協力をお願いに回っています。
この計画は東日本大震災前からの長年進めているものであり、震災があったからといって止める訳にはいかない事情
がありました。
最近、京都でも有名なある会社の会長さんをお訪ねして、寄進をお願いをしましたところ、それは大変良いことだから協力しましょうとおっしゃっていただいたのですが、実は弊社は、この円高で甚大な影響を受けて来年の3月期は赤字転落の見込みです。数年かければ克服できると思うがその時であれば、ご協力しましょうとのお返事でした。
私はこの優良企業がこのような状況なら、日本の事態は本当に深刻だと思いました。
円高の影響、この深刻さに経済界は本当に悲鳴をあげているのに、大きな声となって何故湧き上がってこないのでしょうか?
青蓮院のご本尊は、天変地異を鎮め、国の安泰、皇室の安寧をお計りするお力をお持ちです。
青不動さまはそのご本尊の化身でありますので、青不動さまを通じご本尊を拝むことにもなり、この歴史始まって以来とも思える国難に、一心に護摩祈祷をして行きたいと思います。
私は朝夕のお勤めで、必死に祈りを奉げる毎日です。
青蓮院では来る10月23日 12時より、ご本尊「熾盛光如来」を祀る秋季大法要を厳修いたします。
法要にはピアノの横山幸雄氏の奉納演奏もあります。
当日は通常と同じくご参拝できますので、是非この国難を克服するためご参拝をお待ちしております。
慈晃拝。
カテゴリ: 門主のお話 | 2011年10月12日 | コメント(1) | No Trackbacks
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