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11月護摩のお話

11月護摩。今日の京都地方、雨があがりすばらしい満月です。

これを書くにあたり、10月護摩の話を読み返しました。

世の中の深刻な事態。
その事態はさらにイタリアの危機とTPPが加わり一層の深刻さを増したように思います。
ぜひ10月の話を読み直していただけますか。
私の切実な思いですので。

 TPPの問題は日本の農業の根本問題です。補助金、補助金といった、いままでの政治姿勢から脱却しなければ真の日本の農業の再生は不可能だと思います。
 又、ただ反対、賛成という単純な主張の衝突は、減反政策にあったような保護や補助金の悪循環つまり局所療法につながるのではないかと、懸念します。

 昨日、稲盛京セラ財団の「京都賞」の授賞式と晩餐会にお招きを受け参列しました。

 今年は、アメリカ人のジョン・ワーナー・カーン博士のアロイ材料工学への多大な貢献。
ロシア人のラシッド・アリエヴィッチ・スニヤエフ博士の宇宙背景放射揺らぎ理論と高エネルギー天文学への多大な貢献。
坂東玉三郎氏の歌舞伎を中心にした舞台芸術の諸ジャンルを越えて華麗な美の創造者、
の3名の方がそれぞれ賞金5千万円を授賞されました。

 「京都賞」の理念は、稲盛理事長の「人のため、世のために役立つことをなすことが、人間として最高の行為である」とのお考えに基ずき、国内外の科学と芸術に著しく貢献した人々に贈られている賞です。
 その理念は天台宗の開祖、最澄が説かれた、己を忘れて他を利することこそ、人の目指す道であるとの教えと全く同一であります。
 この教えが尊いことであると同時に、如何に実現が難しいか、日々わが身を顧みて反省するところでありますが、稲盛理事長の27年に及び80名を越える方へ贈り続けられていることにあらためて感動と畏敬の念を痛感いたしました。

 坂東玉三郎氏の授賞後のスピーチでの次の言葉が非常に印象に残りました。
 氏はご承知のように、歌舞伎界以外の出身にて幼少の頃から先代の師匠に弟子入りして弛まぬ精進の結果、五代目を襲名されましたが、師匠の日々の教えの中で一番大切にしていることは
 「舞台に立って観客に良く見せようとするな。その役柄に徹底的になりきることだけを考えよ。」
 と云われ、それを実践してきたと語られました。

 
 すばらしい師匠の教えだと思います。
 またその事を謙虚に話された氏の姿勢に心を打たれました。
 
 自分のなすべきことの一番重要なことに真剣に、一心に邁進すること。いやしくも人の評価を受けるためや、何かの利益のためにすることがあってはならない。ということだと思います。

 改めて今日以降、真剣に護摩のご祈祷をお勤めしなければと思います。

カテゴリ: 門主のお話 | 2011年11月11日 | コメント(1) | No Trackbacks

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