青蓮院ブログ

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4月護摩のお話

例年であれば、桜満開のところ、寒いですね。比叡山では一時、真冬のように、雪が舞っていました。

私は昨日まで4日から11日まで行われている比叡山での、御修法に参勤してまいりました。本来であれば、下山できないのですが、今日のお護摩のためお許しをいただいてまいりました。

天台宗では、平安時代から伝えるこの大法要を毎年お勤めいたします。

国家の繁栄と皇室の安寧を祈り、声明といってお経に節をつけて唱え、一日3座、計21ヶ座の密教法要です。

天台宗の高僧(私を除き)19人が、精進潔斎、祈りを奉げるのですが、今年のご本尊は三千院に伝わる七仏薬師法です。

4年に一度青蓮院のご本尊の大法要も順番で回ってきます。
一般には親しくお薬師さんといっていますが正式には薬師瑠璃光如来といって、東方浄瑠璃世界にいらっしゃる仏様で、我々のありとあらゆる苦しみ、苦悩をお救いいただき、幸せと限りない満足を与えていただける仏様です。
比叡山根本中堂のご本尊もお薬師さんです。

国の繁栄、皇室の安寧を祈り、震災の復興、原発事故の早期収束、脱原発を祈願してまいりました。
さらには今日お集まりの青蓮院にご縁あってお参りの皆様のことを思い浮かべまして、それぞれの皆様の苦が除かれますよう、お心が少しでも安楽になられますように念じてまいりました。

もともと人間は生まれてから死ぬまで、苦の連続であるとお釈迦様が説かれました。
生きること、老い、病い、そして死の恐怖。愛する人と共にできない苦。嫌いな人と付き合わなければならない苦、求めれば求めるほど得られない苦。
この身の、そしてこの世は一切が苦であると。

その苦の根源が、煩悩。つまり自己保存の本能にもとずくもので、これを取り除くことができないのがさらに苦である。

こうなりたいと願い、一生懸命努力をして、いくら頑張っても、自分の力の非力さをつくづくと思い知らされることがどんなに多いことでしょうか。

その苦しみを救い、大きな道を示していただけるのが、仏様でありますし、お不動様です。

そのお力に身を委ねること。そこに救いがあり、安楽と満足がもたらされるのだと思います。
苦しみと戦えば、苦しみに押しつぶされてしまいます。

慈晃拝。

カテゴリ: 門主のお話 | 2012年04月07日 | コメント(1) | No Trackbacks

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