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猛暑がつづいております。
8月の満月護摩、本当にこの暑い中、ご参拝ありがとうございました。
これから護摩のお勤めをさせていただきますが、多分50度を超える熱さと思います。祈願の皆様のために気持ちを一段と引き締めて厳修いたします。
最近のテレビは熱中症対策ばかりですね。
その中で男性の日傘の必要性が云われています。戦前は結構定着していたようですが、今はまず見かけないと思います。私は以前から男性も日傘を使うべきだと思っていましたが、誰もやっていない中で使うのは大分抵抗があります。
そもそも男性は女性より強いから日傘なんか、必要ないというのが常識なんでしょう。
私は女性の方が男性より強いのではないかと思います。その証拠に平均寿命は女性の方が長生きですよね。
最近子供たちから、私の誕生日に日傘兼用の携帯傘をもらいました。それでこの夏、勇気を出して使おうと思っていましたが、いざ出かける時に、その傘が家の奥に置いてあって、外に出て強い陽射しの中で、忘れてきたことに気がつくことが続きました。
ようやく夏も終りに近づいた最近になって、やっと使ってみたのですが、やはり必需品ですね。想像以上に効果があります。
女性は自分達だけ良い思いを今迄していて、男性に何故勧めないんでしょうか?
8月は熱いだけでなく、この熱さの中でいつも深く思うことがあります。
8月4日は、天台宗では比叡山で、世界の宗教者の代表が一同に会して、世界の平和のために互いに協力し合い、共に祈る「平和の祈り」を開催しています。
にも拘らず、世界中で紛争や、戦争、殺戮、が繰り返され、飢餓や貧困、が絶えません。
6月23日沖縄全戦没者追悼式典で、沖縄与那国町の小学校一年生の朗読した平和への願いの詩。「へいわってすてきだね」に感動しました。
小中高校から1690点の応募の中からただ1人、この4月に一年生になった安里君が選ばれました。
美しく、長閑に、ゆったりと流れている与那国島の自然と共にすごす、友達や家族、学校のことを記して、これからもずっと平和が続くように、「ぼくも、ぼくのできることからがんばるよ。」で結んでいます。
私はこの詩がすばらしくて、翌日の新聞で全文が紹介されていましたので、切り抜いて持っています。
今日はご参拝の皆さんに読んで聞いていただきました。
改めて終戦の末期の悲惨な沖縄のこと、この暑さの中で噛みしめました。
広島のことも終戦のことも、同じです。
昨日、映画「終戦のエンペラー」を見ました。アメリカの目線で描かれていますが、どうしようもない日本の過去の状況を、そして犠牲となった多くの命のことを改めて深く思いました。
16日は関西ではお盆のご先祖の精霊を彼岸に送る、五山の送り火でした。青蓮院では五山の見える東山山頂の将軍塚で精霊をお送りする法要を毎年お勤めします。
8月はこの暑い中で、命のこと、生を受けている自分の大切な命のことを強く思わざるを得ません。
皆さん、それぞれの自分は、両親のそのまた両親のそのまた両親と、広がっていく無限の連鎖の頂点にいるかけがえのない存在です。
そして自分以外の全ての人も同じようにまた尊い存在。
だからこそ、それぞれが生かされている自分に感謝して、今をしっかりと生きていかなければと思います。
それは自分を離れた仏様、神様から見えざる力をいただいていると思います。
お不動さまのお力に委ね、自分以外の人達にどれだけのことがして上げられるか、
ぼくもぼくのできることからがんばるよ。
慈晃 拝。
カテゴリ: 門主のお話 | 2013年08月21日 | コメント(0) | No Trackbacks
7月護摩のお話し
本当に一ヶ月のたつのが早いです。
今日はとても暑い日になりました。その中をご参拝いただきまして誠にありがとうございました。
将軍塚、東山山頂の大護摩堂建立の事業はいよいよ大詰めの段階ですが、まだ京都市当局と最後の認可をいただくための手続きが難航しています。
ほぼ最終段階に達していたのですが、あたかもまた振り出しに戻るようなご指摘がありました。
行政はもっと市民の側にたって徒に問題を引きずらないで欲しいです。
我々は行政の手の中で「もてあそばれ」ている感じです。
これは地方行政の話ですが、国の許認可でも同じか、もっと深刻なのではないでしょうか。
諸外国と対当に戦っていくために、この行政の必要以上の介入はどれだけ競争力を損なっているか計り知れません。
私は日本人の勤勉性と従順性、忍耐力によって辛うじて、官に従う体制が維持されているのだと思います。
ロシアのモスクワとサンクトペテルブルグへ行って来ました。
サンクトペテルブルグはロシアのモスクワに次ぐ2番目の大都会です。
帝政ロシア皇帝のピョートル大帝が建設した、冬の宮殿が有名なエルミタージュ美術館となっています。所蔵品は400万点。
また郊外の同皇帝夏の宮殿は噴水の巨大な宮殿です。別の場所のエカテリーナ宮殿の壮大さも劣らぬすばらしさでした。
そして都の広大な地域が当時のままに石造りの巨大な教会や建物で埋め尽くされています。
しかもそれらの大部分がドイツ軍の攻撃で破壊され尽くされたのです。
それらの記録写真が展示されていました。
驚くべきことはそれらが全て完全に修復され、元通りに復元されていることです。まだ復元最中のものもあります。
共産革命であっても、帝政ロシア皇帝の遺産を保存修復したんですね。
京都に戻って愕然としました。
あまりにも何も残っていない。
京都はほとんど無傷で終戦を迎えた筈でした。
いま京都は、日本人の自らの手でほとんど全てを破壊してしまったのです。
いま青蓮院が東山山頂に移築再建しようとしている、木造大建築(奈良の大仏殿の横幅約半分)は総工費7億円ですが、彼等の復元再現した建造物群の圧倒的な量と水準の高さと比較すると眩暈がするほど矮小です。
その建物すら、京都府が廃棄処分としていたのです。
ひたすら、レベルの低い経済合理性の考えのもとに。
青蓮院ではまだ不足の資金を勧進中でございます。
どうぞご理解ご協力賜りませんでしょうか。
もしアベノミクスで資金にご余裕がお出来になっていらっしゃる方でございましたら、そのほんの一部でもご寄進いただけませんでしょうか。
お振込み口座名義
みずほ銀行 京都中央支店
普通預金 2118743
(宗)青蓮院門跡 (しょうれんいんもんぜき)
なお本日護摩にご参拝いただいた方々にはこのお話しをしていません。
護摩の皆さんには先月お話しした、医学無用論の本のことを、仏教と医学について私の思いをもう少し詳しくお話ししました。念のため申し添えます。
慈晃九拝。
カテゴリ: 門主のお話 | 2013年07月23日 | コメント(0) | No Trackbacks
6月護摩のお話し
満月護摩にお参りいただきまして有り難うございます。
台風一過気持ちの良い護摩日和となりました。
少し前に読んだ本のことをお話しします。
新聞に広告が大きく出ていて興味があって購入しました。
著者 内海聡(うつみ さとる)さんの『医学不要論』という本です。
前々から私自身思っていたことと、非常に近いお考えを書かれていて、まさに我が意を得たりとの感を深くしました。内海さんは内科の若手現役医師であることが一層本書の説得力を高めています。
何か病気の症状が出たら、我々は躊躇なく医者や、病院に行ってそこの先生の指示に従うことにあまりに従順ではないかと思います。
本書で主張されていることの根本は、西洋医学の目指すところは、その病気の症状を科学的検査で徹底的に調べたとしても、おおよそどの医師にも当てはまることですが、治療方は、ひたすらその症状を和らげる薬の投与、つまり対症療法がメインである。と。
その症状が起きた原因を調べて、その原因を取り除くことが、本来の医者の本業にも拘わらず、残念乍、そのような診療は殆んど見受けられないと云っておられます。同感です。
そして多くのケースで医者はその原因さえ分かっていないのだと書かれています。
現在の西洋医学は、ひたすら対症療法であって、しかも多くの場合「薬」を処方するだけです。
ところが本書ではその薬がどんなに危険なものであるかを、事例をあげて記しています。
たまたま今日の京都新聞に、厚労省が食品添加物のアルミ規制との記事がありました。
菓子パンやケーキの一部に添加物として含まれるアルミニュームに関し、許容摂取量の基準値を設定して規制する方針を固めた、と報じられました。多量に摂取すると腎臓障害を起こしたり、本書の別の所では、認知症になるとの研究も書かれています。
さらにアルミニュームは胃薬に極めて多く含まれていてそれは、WHOの基準を大きく上まると指摘されています。
胃がむねやけや、潰瘍の痛みを発するのは、身体の異常を知らせている信号なのだ、原因を調べてくれとの発信である。それを無視して胃薬を飲むのは何等根本解決ではない。
ましてやその胃薬にアルミニュームが相当量の%で入っているとすれば、結果は悲惨なものがあると述べておられます。
著者は結論として、健康でいるためには、医者にかからず、病院に行かず、どの薬も危険があるので、極力薬を飲まず、そしてその原因を正す食事療法や生活習慣の改革によって、人間が本来持っている治癒力に委ねるべきであると云われています。
癌の対処療法である、放射線、抗癌剤は結果として、その人の持っている寿命を縮めている。
そして、体内から毒を排出し、体外から毒(薬や抗癌剤など)を入れない。
これが健康であるための処方箋であると云われています。
私はこれに加えて神仏に祈ることが非常に大切であると思っています。
祈りは自分を越えたものです。病気の原因を取り除くといっても判らないことの方が多いと思います。
判らないことを越えること、自分を越えた存在、つまり宇宙にも似た大きなものに身を委ねることだと思います。
そしてその大きな力を自分の中に取り入れる。インプットすることで、分らなかった原因にふと気がつくこともできる。
良いもの、大きなものを入れ、毒を入れず、毒を出す。
著者は宗教はきらいだが哲学的にものを考えるのはキライではないと最後に書かれていますが、
私は著者の云う哲学的にということは、宗教の領域に接していると思うのです。
そのような思いを込めて、ご参拝の方々とお不動様の護摩をお勤めしました。
カテゴリ: 門主のお話 | 2013年06月24日 | コメント(0) | No Trackbacks
今夜の満月はすばらしいと思います。
一寸暑いですが、晴天の初夏の陽射しの中に時おり吹き抜けるそよ風がとても気持ちよいです。
5月の満月護摩にお参りありがとうございます。
池の水が透き通っているのに気が付かれましたか。
4月の下旬に池の浚渫をしました。水を全て汲み上げ、溜まっていた汚泥を除去処分したのです。
前回から8年ほどたっていましたので。
実は池にいた鯉が、新たに購入した鯉の病気が感染し全てに蔓延してしまい死んでしまったため、一度徹底的に池の掃除をしなければならなくなったためです。
今後はこの教訓を生かして、新たな対策を講じて行かなければと考えています。
ご拝観をいただく全ての方々が美しいと感じていただき、癒しのひと時をお過ごし頂けるようなお庭にしていきたいと思っております。
門前のクスノキが新緑の葉に全て衣替えしました。今が一番すばらしい。
クスノキは常緑樹ですが、春先から初夏にかけて古い葉を落としながら、新しい葉に替えていきます。
青蓮院のクスノキは京都市の登録天然記念物に指定され樹齢800年と伝えられる大木です。
この時期落ち葉の清掃と片付けが年中行事のように大仕事になります。
神社のご神木のように、お寺や神社には巨木、銘木がつきものですね。
それは、その木がご本尊やご神体に守られているからとも、ご本尊やご神体のお力がほとばしって出ているからとも考えられます。
私はご本尊熾盛光如来や、その化身でいらっしゃるお不動さまのお力が顕れているものと思います。
このクスノキは過去何百年もの年月をかけて、大地の水や、土の恵みを吸い上げ、
太陽の巨大な力を取り込んできました。
この偉大なクスノキから溢れ出るパワーは、ご本尊とお不動さまの力でもあると思います。
皆さんこうして毎月お参りいただき、お不動さまのお力をいただくと同時にこのクスノキの気を吸い取ってお帰りいただきたいと思います。
お不動さまのご利益の他に、このクスノキの気をしっかりと取り込んで下さい。
お身体の芯から浄化し、お身体の健康のために是非おすすめします。
早朝門前にいますと、このクスノキに触れにくるのを日課にしていらっしゃる方が何人もおられます。
この5月14日、比叡山では全国の天台宗の僧侶の代表が結集して、慈覚大師の1150年の遠忌法要を勤めました。
慈覚大師は、天台宗では伝教大師最澄に次ぐ偉大な存在です。
青蓮院のご本尊も、慈覚大師が唐から招来され、比叡山にて勅許を得て国の安泰、皇室の安寧、天変地異の鎮静を祈願し、門跡寺院の開創からご本尊としています。
今皆さんが拝んでいらっしゃるお不動さまは、このご本尊の化身です。
慈覚大師は、日本に念仏を唱えることをもたらされました。
また良く皆さんのお馴染みの写経も慈覚大師が比叡山の横川で始められました。
その時大師は身体を壊し、衰弱していたのですが、法華経を写経している内に全快しました。
その後東北地方に布教の行脚をされ、数多くの今に残るお寺を建立しました。
大師の徳を頂き、及ばずながら日々をお勤めしていかなければとの思いを深くいたしました。
三浦雄一郎さんが、世界で初めて80歳の高齢で、エヴェレスト登頂に成功されました。
しかも3回目とのこと。世界中の人々が賞賛しています。
私は、雄一郎さんが、宗教とどのように関わりをもっていらっしゃるか知りませんが、
この登頂成功に至る雄一郎さんの歩みそのものが、仏道だと思いました。
以下のことは折にふれ申し上げていることですが。
人は誰でもまず何かをしようと思います。
それをしっかりしたものにするのが、願いです。
ああしよう。ああなりたい。
ここまでは普通に誰しも思います。
次は祈りです。ここからが宗教の範囲といえます。
単に願うのではなく、強く堅い願いであり、非力な自分を越える力をいただくことになります。
しかしこの祈りの段階でもまだ充分ではありません。
次は繰り返すということです。
皆さんここでは、お不動さんの真言を繰り返し唱えていただきますね。
真宗さんなら、南無阿弥陀仏です。
この祈りを繰り返すことが大変大切です。そうすると突然に、或いは自然に「ふと」こうしよう
といった行動が思いつかれるのですね。
それをまた繰り返し繰り返し行う。その先に成就への道が開けるのだと思います。
雄一郎さんは、周到な準備をされたと報道されています。
高度4〜5千メートルの希薄な酸素の状態を作って、その中で訓練されたり、重い錘を背負って足を鍛え、過酷な訓練を自らに課すこと、異常なまでの努力を積み上げてこられたようです。
お不動さまにお参りされ、どうか皆さんもしっかりと、それぞれの諸願の成就に向けて進んで
いただきたいです。
カテゴリ: 門主のお話 | 2013年05月25日 | コメント(0) | No Trackbacks
4月護摩のお話し
青蓮院のお庭の新緑のもみじが一際美しくなっています。
満月ごまにお参りありがとうございました。
4月4日から11日まで、比叡山に篭り、恒例の御修法に参勤してまいりました。
今年は普賢延命法といい、不老長寿を祈るものでした。
特に両陛下はじめ皇室の方々のご健康をお祈りいたしました。
青蓮院のご本尊を祀る熾盛光法も、4年に一度この御修法でお勤めすることになっています。
青蓮院では、毎年10月にこの法要を秋季大法要として、お勤めいたします。
昨日の新聞で皇后様が、お首の痛みが激しくご公務をとりやまれたとのことが報道されていました。
御修法でしっかりお勤めしましたのに、誠に残念です。
皇后さまが本当にお可哀想です。
お首が痛いのは原因が想像できます。
たまにお会いしたときに,、皇后様は人の話を本当に良く聞いて下さります。
お首を前に傾け、お身体もやや前のめりにされ、お身体全体で聞いていただき、お優しいお言葉をお掛けいただきます。
東日本大震災で被災者をお見舞いされているお姿や、方々のご訪問先での映像にも良くご覧になれるお姿だと思います。
また天皇陛下から常に一歩引いて控えめに付き添われ、こころもち前に屈まられていらっしゃいます。
さらに想像を絶するストレスをお受けになっていらっしゃると思います。
今回のお首の痛みは、そのうような内的、外的要因が重なったものと思います。
新聞には、「頚椎(けいつい)症性神経根症」という難しい病名がついておりました。
私は西洋医学はどうしても対症療法が中心と思います。
検査、検査と分析をして、治療となると、基本は薬です。
癌でも放射線、抗がん剤、外科手術。だけといっても過言ではないですね。
心は対象になっていません。
心をどうするかは精神医学の分野で、それも特別な病気のみが対象のようです。
我々は人間ですから、心と身体をもっていて、その複雑な相互作用によって生命の神秘な営みが成り立っていると思います。
皇后さまには、どのような治療をなさっているのか判りませんが、おそらく西洋医学の対症療法だと思います。
さらに、お首の痛みは心因性のストレスからきていると思うのです。 私はまず、お首を前に傾けられている、回数と時間の同量を、後ろに反らせる動作をなさったら良いと思います。
病は気からと昔の人は言い当てていました。
皇后さまの気苦労は並大抵のものではないと思います。
西洋医学では、総合的に捉えることをしないで、細分化し、分析して、薬で対処する。人間を機械の部品の集まりであるかのような考え方だと思います。
宗教は心を安楽にすることを目指しています。
つまり病気の原因になる、心にかかる重圧を取り除こうとします。
皇后さまのお側に行って、悩みを聞いて差し上げ、共に泣いたり苦しんで上げてお苦しみの重みを軽くして差し上げたい。
しかしながら、いくらそのようなことを思っても実現不可能ですが。
このことは我々も多かれ少なかれ、同じことだと思います。
周りの人に世話にならずに、健康で長寿であるために、心を安らかに保つために、
こうして毎月お参りいただくこと。お不動様のお力に委ねることが大きなお力になると思います。
西洋医学では理解し難いことですが、仏様に祈ること。お不動さまに祈ること。でストレスを和らげ自然に苦しみを感じなくすることが出来ると思います。
そこには、西洋医学にない、量り知れないものがあると思います。
カテゴリ: 門主のお話 | 2013年04月27日 | コメント(2) | No Trackbacks
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