やっと春らしい暖かさになってまいりました。境内は梅があちこちに咲いております。
10日に上野に行って来ましたが、西郷さんの銅像の側の早咲きの桜が3分咲きでした。
青蓮院の境内はまだ梅です。
昨日掛川に行って来ました。
青龍殿の木造建築の全てをお願いしている、社寺建築の飛鳥工務店さんの工場があります。
青龍殿の小屋裏の組み立てが完了したので、見に行ったのです。
体育館ほどの広さの作業工場に、橋梁状の移動式クレーンが天井の端から端まで動くようになっています。
出来上がっていた小屋裏は、その作業工場のほぼ全体を占めるほどの大きさで、巨大な木造の屋根を支えるスラブが2m程の間隔で連続して並び、その規模に圧倒されました。
損傷部分が、大きな部材から細かな箇所まで、差し替えが匠の技で見事に行われていて、良くここまでやってくれたと感無量でした。
明日から再びばらばらにばらして、将軍塚に運び組み立てます。
将軍塚の現場では、10メートルを超える通し柱12本の上にその巨大な小屋裏を組み直すのです。
先週は、内陣の新築護摩堂の立柱作業が始まり、近くで見ていたのですが、鳶職の若いお兄さんが高い梁の上で掛矢という大きな木の槌をハンマーのように高く持ち上げ、振り下ろして、柱と梁の結合作業をしていました。
命綱を付けない力仕事で、一歩踏み外して落下すれば大怪我か、下は堅いコンクリートですから死ぬ可能性もあると予想されます。
命がけの作業で、感動的でした。
今回の事業は、鉄骨や鉄筋の現代建築と違い、多くの職人さんの手作業、手仕事、匠の技の結集で進められていることを、つくづくと思い、また感じました。
木材という自然の材料に、人の思いや人の手の力が伝わって、それも命がけの場合もある。
この事業は、本当にお不動さまに導かれていると、二つの現場で感じました。
ただお金をお支払いしたら、出来るのではない。
多くの人の、この巨大な木造建築を保存再建しようという、強い熱意が、1つ1つの手の作業に
伝わって、出来上がるのだと、強く思いました。
お不動さまに導かれてここまで来たということをつくづく実感しました。
どうか皆さまご参拝の方々が、このお不動さまの強いお力を戴いて、ご自身の目標が成就
されますよう、今日のお護摩をお勤めしたいと思います。
慈晃 拝
カテゴリ: 門主のお話 | 2014年03月18日 | コメント(1) | No Trackbacks
2月護摩のお話し
1月はあっという間に過ぎて、早や2月の護摩です。
大雪や、お足元の悪い中、ご遠方からもご参拝いただきまして誠にありがとうございます。
今日は生憎、満月は見れないと思います。
先月の初護摩は1月16日でしたが、その時お話ししたことの中で、一寸先は闇、人生、何が起きるか判らない。無常、すなわち常ならず。今がずっと続く事はない。良きにつけ、悪しきにつけ。
だから、今を大切に生きていく、今、与えられた状況で最善を尽くすことが大切という趣旨をお話しています。
それは何故かといいますと。
実はその時、東山で取り組んでいる「青龍殿」の完成を10月4日に落慶式予定で、突貫工事中と申し上げていたのが、実は内心とても不安な状況だったからです。
護摩の日、1月16日の数日前に、現場で工事に当たる業者から、建物と付属の大舞台を両方共10月4日までに間に合わせる可能性はゼロに近い、との爆弾発言がでて来ていたのです。
私は直ちに、1月29日に予定していた、現場視察を含めた関西地区の記者発表を急遽延期しました。
建物だけの中途半端な完成と公開はなんとしても避けたい。となると1年延期か。
私は何としても予定通り、やり遂げたいとの一心にかられ、なぜゼロに近いのか、直ちに要因を徹底的に究明しました。
そしてその1つ1つを潰し、役所の判断の必要なものは、設計者に同行して、決定権のある責任者と直談判をして、その場で結論を出してもらいました。
消費税の駆け込み需要。震災復興で工事が東北に集中。建設業界は人出不足となり、無理がきかない状況にあります。
その中で、最後に難関の建設業者さんとの話を詰め、ゼロ発言を撤回してもらい、10月4日落慶式の前までに完成させる確約をとることができたのです。1月21日でした。
この時ほど、私はお不動様のお力を感じたことはありませんでした。
やはりこの事業はお不動様が、「やりなさい」とおっしゃていらっしゃるのだと。
物事を進めるとき、これ以上出来ない極限まで、準備をし、あらゆる努力をする。
しかしどこまで頑張っても、最後はその努力を越えた見えざる力があると思い知らされました。
それがお不動様だと思いました。
スキーの高梨選手、皆が金メダル間違いないと思っていました。本人もこれ以上望めない
長い年月の努力を積みかせねて、磐石のレベルに達していると自覚していたと思います。
結果は、予想外の事になりました。一部の解説では、風の影響が極めて不運であったと伝えられています。
この二つのことから、
人間の力を超えた大きな力。私は信仰に委ねることの大切さを感じたのです。
次回の護摩は、3月17日午後2時です。
どうぞお気軽にお参りください。 慈晃 拝。
カテゴリ: 門主のお話 | 2014年02月15日 | コメント(0) | No Trackbacks
平成26年の初満月の初護摩供をお勤めいたしました。
新年のお祝詞を申し上げるところですが、父の名誉門主が元旦の早朝に遷化いたいしましたので差し控えさせていただきますが、その折賜りましたご会葬やご弔意に厚く御礼申し上げます。
父は明治43年生まれで、明治、大正、昭和、平成と、激動の一世紀を生きてきました。多くの皆さまのご縁や、お力をいただき長寿を全うできましたこと、本当にありがとうございました。
今年は青蓮院にとりまして、いよいよ今秋、東山山頂に「青龍殿」を落慶する運びとなり、昨年12月から突貫工事に入っております。
京都市の建築許可を頂くのに、4年11ヶ月。期間は重なりますが京都府の許可に3年。結局許認可を取得するのに通算で5年11ヶ月の時間を要しました。小学校1年生が中学生になるほどの長い年月でした。
東日本大震災の後処理がなかなか進まないと云われております。
中央、地方を問わず役所の縦割り行政、徹底した責任回避が最大の要因になっていると思います。このことを骨身に染みて味合わされた6年間でした。
文化財といえる木造の大建築を保存しなければとの使命感でここまでやってきましたが、資金の不足する所を、多くの皆さまからご支援ご協力をいただき本当にありがたく思っております。
お蔭様であと一歩のところまでになってまいりました。ありがとうございます。
平成26年の年頭にあたり、昨年度から比叡山延暦寺が今年の漢字を発表することになりました。私の思いに通じるところですので、ご披露したいと思います。
今年の延暦寺の新年の漢字は「挑心燈」です。
これは「心にともし火をかかげよう」と読みますが、燈しびとは何かということになります。
およそ3つの意味があります。
その1つは、道心。道を究める心。つまり仏様の悟りへの道を目指す心です。
これは非常に難しい道であり、凡人には極めてハードルが高い訳です。
そこで2つ目の意味は、精進努力を惜しまないことを心がけることです。
つまり、ご自分のお仕事や役割をしっかりと果たす。悔いのない一年でありたいと思います。
3つ目の意味は、いつもお話ししている、慈悲の心だと思います。
慈悲とは慈しむ、の意味ではなく、人のために自分を捨てて、尽くすことですが、これまたなかなか行うことが難しいことですね。
だれも、自分が一番可愛くて、自分中心で、自分さえ良ければ良いのですが、少しでも人のために、人のことを考えてあげる。そのように行動することが、どんなにご自分の心の安定に繋がるか、計り知れません。
他の人のために何がしてあげられるか。少しでも身の回りに実現出来るよう心がけたいと思います。
それも並大抵の思いではなく、本当に強い心掛けを持ちましょう。との呼びかけです。
それが挑の意味であります。挑にはいどむ、はねる、といった強い意味があります。
この一年、どうか皆さまにとって、目指すべき目標に向かい強い思いを燃やし続け、成就にいたる良い年となりますことを強く願い、初護摩のお勤めをいたしました。
ご自分の力の足りない部分はお不動さまのお力によっていただきたい。とかく弱くなりがちな心を。お任せしましょう。
慈晃拝。
カテゴリ: 門主のお話 | 2014年01月17日 | コメント(0) | No Trackbacks
平成25年の納め護摩をお勤めしました。
この一年を振り返って色々なことがありました。
貴方ご自身の人生の中でどのような一年だったでしょうか。
思い通りに行かないのが普通ですが、お不動さまに委ねて自らの信ずる道を一生懸命進むこと以外にありません。
そこにお不動さまのお導きが自然ともたらされ、様々な新たなご縁に結ばれ失敗や、誤算も試練として、或いはお導きの鞭としてありがたくお受けすることができます。
12月11日東京で記者発表を行いました。
12月3日京都市より、懸案の東山山頂将軍塚の青龍殿(大護摩堂)の建築許可が4年11ヶ月の交渉を経て正式に許可されましたので、発表させていただきました。
併せて10月8日から12月23日までの青不動さまのご開帳、3年に及ぶ同画像大修復の内容、またそのデータを基にして平安時代に画かれたままに復元する復元模写の事業とご開帳、そして清水の舞台の4.6倍の広さの外部舞台のご披露、山頂境内庭園の大幅改修とライトアップ等が、主な発表内容でした。
国宝中の国宝と称される、青不動さまの本物を前にして拝みたい。常には公開はできませんがお扉の向こう側には本物のご尊像がいらっしゃるようにしたい。
そして多くの人々にそのお力が及び、皆様の心の支えや成就へのお助けになっていただく活動をして行きたい。
以上の2点が、私が青蓮院に入寺したときから20年間の目標であり、一貫した思いでした。
色々な出会いやご縁で、文化財として後世にぜひ残して行かなければと木造大建築の保存移築再建の仕事にも拡大してしまいました。
資金的な不足も当初から覚悟の上で始めてしまい、多くの方々のご支援とご協力によってようやくここまでこれましたことに、深い深い感謝と、お導きいただいているお不動さまの大きなお力をいまほど強く感じることはございません。
毎月の満月護摩にご参拝いただいている皆様には、特にこの青不動さまのお力が強く及びますよう、今年の納め護摩をお勤めいたしました。
来年の初護摩(初満月)は1月16日に厳修いたします。
お誘い併せご参拝お待ち申し上げております。
どうぞ良いお年を。 慈晃拝
カテゴリ: 門主のお話 | 2013年12月17日 | コメント(1) | No Trackbacks
今日はすばらしい晴天です。お庭の紅葉も一段と美しさを増してきました。
青蓮院の恒例のライトアップの真っ赤な紅葉に続く東山上空に、一際、光を放つ満月、この世のものと思えない美しさと、凄さがあります。(21時)
満月護摩にお参りの初めての方に一寸、何故満月に護摩供をお勤めするのか。改めてお話ししました。
人間の身体の中は水分が半分以上あり、血液、リンパ液が巡っています。
脳の中にさらに集中しています。脳は人としての活動の全てをコントロールしていますが、まだ充分研究は進んでいないのですが、やる気、元気 などの気も脳の総合的な働きによるものです。
月の引力の莫大な力は、干潮、満潮に現われていますが、波打ち際が何十メートル動く訳です。それは、大西洋、太平洋の海水全体が動いている訳です。つまりその尋常ではない力は、東日本大震災の津波どころではない巨大なものです。
その力が人間の身体の中の水分にも及ぼされており、そして血液やリンパ液となって、脳に還流する水分に及ぼされているのです。
つまり脳の働きに、満月の引力がどれほど凄い影響を与えているか計り知れません。
つまり簡単にいえば、満月の時には、人間の気が高まる訳です。新月にも同じ現象が起きます。
その時に護摩供のお勤めをして、一心に祈る。
密教の修法を、多くの高僧が毎日真剣に取り組んで来ましたが、満月や、新月の時は何か違うと感じたのです。
天台宗の最澄に次ぐ高僧であった慈覚大師が蘇悉地経の解説書の中で、満月の護摩供が、極めて成就に至り易いことを説いております。
私はこれを実践の中に取り入れ、もう14年目になります。
満月の日は「気」が高まりますが、悪いほうにも高まるのです。
私はもうだめだとか 何事もうまくいかないとか、私は嫌われているとか、色々と否定的なことを思いますとそちらも強く作用するのです。
つまり青蓮院の満月の護摩供に参拝されて、ご自身の目指す目標に向かって前向きに望んでいただくことがより成就への道に繋がると思って、お勤めしております。
今日は、今月の護摩供から、新しく始めることがあります。
それは、いつも皆さんお唱え頂いている、不動真言に加えて、「ボロン」という真言をお唱えすることにいたしました。
私共のご本尊は熾盛光如来といいますが、大日如来の仏頂尊で、大日如来のさらに崇高な仏様です。一般にお不動さまは大日如来の化身と云われており、皆さんはお不動さまを通して大日如来を拝んでいらっしゃります。
この大日如来をお唱えする真言が、「ボロン」です。
この真言の意味は、「成就」ということになります。
平たく申せば、物ごとがしっかりと、実現していきますように。ということになります。
いままでお唱えするべきだったのですが、考え至りませんでした。
急に今月からというのも変なのですが、思いついた時が吉日ともいいますので始めることにいたしました。
前にも何度もお話ししていますが、ご本尊熾盛光如来は、国の安泰、皇室の安寧、天変地異を鎮する働きをお持ちです。
次々と地震や、台風、等自然の猛威が打ち寄せてまいります。ご本尊のお力で少しでも鎮静しますよう日々祈っておりますが、私はこの仏様を祈ることによって猛威の全てを回避することは無理と思っております。
それでは何故祈るのか。そのお答えは、私はこの仏様を祈ることによって、常にいつ天変地異が起きても対処できる心構えを深く心に刻むことになると考えています。
本箱や、大きな家具が倒れないように、また戸棚の扉が開かないように等、また災害が起きてしまった後への備えとして最低限の物を準備することは当然です。
起きないように祈るのですが、そのことを強く日々祈ると、起きて当たり前だから、その時どうする
かと考えられるようになるのです。
東日本大震災のことを考えれば、原発の設計者や、管理にあたっていた多くの専門家や技術者にこの考えがあったら、今回の事故の原因となった電源を失って冷却装置が働かず、炉心がメルトダウンした事故は防げたはずです。
天変地異を鎮静することを深く祈るとはそのようなことだと思います。
満月に不動真言を唱え、「ボロン」をお唱えする。
貴方ご自身の成就を目指して。
ぜひ青蓮院の護摩供にお参りいただきたいと思います。
慈晃拝
カテゴリ: 門主のお話 | 2013年11月18日 | コメント(0) | No Trackbacks
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