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7月護摩のお話

今日は。7月の満月護摩です。暑い中ようこそお参りいただきました。お不動さまのお力をいただいて元気にこの夏を乗り切りましょう。
少し前になりますが、NHKのインタビューを受けたEUのバローゾ委員長の話に大変感銘を受けました。
EUはヨーロッパの27カ国、5億人を連合して、今や世界の総生産の30%を占めています。
2005年に、物事を決める際の条件を参加各国の全会一致条項から、多数決を増やす条項に変え、新しい条約を批准してから、まとまった力を発揮するようになったとのことです。
その根本に流れる思想は「共存」です。過去の大きな戦争の悲惨さの中から骨身に染みて学んだことだったと熱心に語りました。
そしてその精神に則り、開かれた社会のため共通のルールが必要である。そして市場原理は万能ではない。との結論に達しました。域内のルールに従わない場合の厳しい罰則を設けています。そして今EUは次のことを中心に推進しています。
第一は、消費者の安全を守ること。
それは消費者の食の安全、そしてそれは生産物からサービスまで様々な分野にわたっています。
第二は、働く者の権利や、幸福、職場の確保を図ること。
第三は、地球環境の保全を図ること。
このことについて温室効果ガスの削減目標を独自に厳しく定め、自動車メーカーには既に20%削減を義務付けました。2020年までに全体の目標も20%削減し、今後各国の協力が得られれば30%にアップしたいとのことです。
先般開かれた洞爺湖サミットでは世界の主要な国の代表が一同に会し、地球温暖化問題については2050年までに50%削減することで基本合意したことになっていますが、ただの絵に描いた餅のようなものだと私は思いました。
なぜなら、2005年段階で全世界の温室効果ガスの排出量が、アメリカは21.4%、中国は18.8%でその2国の合計は40.2%ですが、サミットでは、その両国は互いに先に相手国が取り組むべきであるとして、世界の緊急の課題にも拘わらず、真剣に土俵に上がりません。ちなみに日本は4.5%、EU27カ国合計で14.7%です。
サミットに先立ちアフリカ拡大会議があり、世界的食料と原油の暴騰により、アフリカの飢餓と貧困が危機的状況であることが訴えられましたが、主要各国の解決策は、援助を約束するだけでした。
食料や原油の投機的暴騰を食い止め、引き下げる具体策は何ら打ち出されませんでした。値上りの肯定が前提になっています。
主要国は団結して、投機筋を不安に落とす具体策の1つでも合意することが、サミットの役割だったと思います。その意味で全く意味のない会合でした。開催国は多大な費用を負担して腹立たしい限りです。
7月15日には、原油の値上がりに抗議して、日本中の漁船20万隻がストを決行しました。
このようなことは過去の歴史に無かった異常事態です。
これについても日本政府は原油を下げるための世界への発信はしないと思います。
なぜ原油は暴騰したのか。うがった見方をすれば、アメリカの指導層は産油国の利害と一致しているからではないかと思います。
温室効果ガスにしても、まず自国の利益が第一優先となって先に進みません。自分さえ良ければ良い、という人類の性、つまり仏教ではむさぼり、すなわち煩悩が全ての根源にあります。
煩悩のおもむくまま進む先にあるのは、人類の滅亡だと思います。
今の世界の状況はそのようなことを予感させる事態といえましょう。
観音経という法華経の中のお経があります。その中に
悲体戒雷震 慈意妙大雲 滅除煩悩炎 という文句があります。この意味は、観音様の慈悲のお心は雷が轟く程のすさまじいお力であり、また入道雲が夏空に湧き上がるほど、力強く、そのお力で煩悩の炎を減じ、取り除いていただけると説いてあります。
慈悲とは、自分の全てを投げ出して人のために尽くし、人の悲しみや苦しみを我がこととして身代わりとなるという心の段階です。仏様でなければ到達できない段階ですが、一歩でもそこに近づくことが、仏教の教えです。
アメリカでも中国でもその段階になれば、問題はなにも起こらないのですが。
翻って我々の日々の営みにおいても、自分さえ良ければ良いとの考えになりやすいと思います。
お集まりの皆さんには、常々申し上げていますが、ご自身のことを祈願されるとともに、少しでも他者のために、他者と共に栄えることを念願していただきたいと思います。
その意味でEU のバローゾ委員長の「共存」の精神と穏やかで平和な社会を目指す理念を説かれる姿勢に、大いに惹かれるものを感じました。
日本はそろそろアメリカ一本の軸足から、EUとのつながりを深める方向へと、転換が必要だと思います。
暑い夏に向かいます。どうぞ、お体に気を付けられお不動さまのご加護がありますように。
長文をお読みいただき感謝いたします。
ご意見をお寄せください。
                    門主 慈晃 拝

カテゴリ: 門主のお話 | 2008年07月19日 | No Trackbacks

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